三陸はるか沖地震(平成6年)

地震の概要

概況

平成6年12月28日21時19分ころ、三陸はるか沖のごく浅いところを震源とするマグニチュード7.5の地震が発生した。八戸で震度Ⅵ、むつ、青森、盛岡で震度Ⅴを観測したほか、北海道から中部にかけての広い範囲で有感となった。

この地震にともない、仙台管区気象台は21時23分に東北地方の太平洋沿岸に対し「ツナミ」の津波警報を、東北地方の日本海沿岸に「ツナミチュウイ」の津波注意報を発表した。札幌管区気象台、気象庁本庁も順次津波注意報を発表した。津波は、宮古の55cmを最高に北海道から東北地方の太平洋沿岸で観測されたが、津波による被害はなかった。

地震の翌日、気象庁本庁は現地に地震機動観測班(2名)を派遣し、八戸測候所と合同で八戸市およびその周辺を調査した。仙台管区気象台管内の各気象官署も現地調査を行った。

平成7年1月12日12時現在の自治省消防庁の調べによると、人的被害は死者が3名、負傷者が784名にのぼり、物的被害も住宅被害が全壊48棟、半壊378棟、一部損壊5,803棟の計6,229棟に達したほか、道路の損壊104箇所、港湾・漁港の被害87箇所をはじめ多岐にわたっている。ライフライン関係では、上水道の断水が約4万2千戸、停電が約10万6千戸、ガスの供給停止が約千5百戸と大きな被害となった(ライフライン関係の数字はいずれもピーク時の概数)。

平成7年1月21日までの余震総回数は1,091回、うち有感回数は56回である。本震後次第に減衰していた余震活動は、1月7日発生したM6.9の余震のあと本震後とほとんど同じレベルにまで回復し、その後再び減衰した。余震のうち、1月1日16時00分頃に発生したM6.7の地震と、1月7日07時37分頃に発生したM6.9の地震では津波注意報が発令されたが、いずれも約1時間後に解除された。

気象庁は今回の地震を「平成6年(1994年)三陸はるか沖地震」と命名した。

「災害時地震・津波速報(気象庁 平成7年1月24日)」より

図表

図3-01:本震の震度分布図(八戸付近)■気象庁提供
図3-01
参考文献:青森県大震災の記録(青森県)

図3-02:地震計の記録(八戸測候所)■気象庁提供 本震震央地震発生時刻(1994年12月28日21時19分20秒)
図3-02
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

図3-03:地震計の記録(八戸測候所)■気象庁提供 余震震央地震発生時刻(1995年1月7日7時7分36秒)
図3-03
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

図3-04:津波の状況(検潮所の記録)■気象庁提供
図3-04
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

平成6年三陸はるか沖地震

仙台管区気象台

1994年12月28日21時19分、八戸市の東方約180kmの三陸はるか沖で、M7.5の地震(深さ0km)が発生し、八戸で震度6を観測したのを始め、北海道から中部地方までの広い範囲で有感となった。

この地震(本震)は、三陸はるか沖の北部(北緯40度~41度帯)で発生したが、余震域は岩手県北東沖から青森県東方沖まで広がった。また三陸はるか沖の中部(北緯39~40度帯)でも一時活動が活発となった。

余震回数は1995年4月末日までに2590回を越え、このうち有感となった地震は本震を含め75回観測された。

また、M5.0を越える地震は本震を含め24回発生し、最大余震は1995年1月7日のM6.9であった。

この海域における過去1年間の活動状況を見ると、今回発生した本震の北東側で、1994年4月8日にM6.6の地震が発生し、一時活動が活発になっていたのが注目される。

1926年以降のM6.5以上の震央分布で見ると、三陸はるか沖北部の地震としては、過去に大地震が発生していなかった海域に4月8日の地震が発生し、ついで今回の地震が発生したように見える。

なお、今回の地震は「1968年十勝沖地震」以降最大規模となった。

「地震予知連絡会会報第54巻 国土地理院」より

図表

図3-05:平成6年(1994年) 三陸はるか沖地震(12月28日,M7.5)による震度分布図
図3-05
参考文献:地震予知連絡会会報第55巻 国土地理院

図3-06:最大余震(1995年1月7日,M6.9)による震度分布図
図3-06
参考文献:地震予知連絡会会報第55巻 国土地理院

微少地震観測網による1994年三陸はるか沖地震の余震活動

東北大学理学部

1994年12月28日発生した三陸はるか沖地震(M7.5)の余震分布を図3-7(A)に示す。1995年1月7日に発生した最大余震(M6.9)の前後で余震活動を分けて示したのが、図3-7の(B)と(C)である。最大余震は余震域の南西側を拡大する形で発生し、その後は最大余震が発生した付近で活発に余震が発生している。

「地震予知連絡会会報第54巻 国土地理院」より

図表

図3-07:1994年三陸はるか沖地震とその余震の震央分布。(A)本震発生から1995年1月まで。(B)本震発生から最大余震の直前まで。(C)最大余震以後。
図3-07
参考文献:地震予知連絡会会報第55巻 国土地理院

被害の概要

地震動による建物等への被害は八戸市を中心に発生しているが、特に市街地に集中していたのが特徴である。しかし、被害を受けていない建物も多く見受けられた。

建物への被害は、市内朔日町にあるパチンコ店では1階部分がつぶれ、一階の柱が破損して、内部の鉄筋が折れ曲がり、市庁旧庁舎、NTT局舎などは柱や壁面に亀裂が入る、壁面が剥落するなどの被害が生じた。八戸東高校の校舎は一階の柱が破損して、内部の鉄筋が折れ曲がり、柱や壁面が剥落した箇所が随所にあった。また、多数の家屋でガラスが割れる被害を生じた。これら建物への被害は市内中心部で著しい。また、市民生活に欠かせないライフライン(電気、ガス、水道)の被害が発生し、特に水道への被害が大きいようであった。道路の損壊に伴い市内6ヶ所(県警調べ)で通行止めとなり、特に市内松が丘では70~80mの長さに及んで道路が崩落し、路面が多数に切断され、車2台が被害に巻き込まれた。

市内の震度分布は、建物の被害、現地及び電話による聞き取り調査の結果から、震度6または震度5と推定される地点が多かった。なお、同市内でも場所によっては震度4と推定される地点もあった。

港湾地域を中心に液状化による噴砂現象及び亀裂や陥没が発生している。八戸港の河原木地区、八太郎地区埠頭は随所に亀裂、段差、陥没や液状化現象がみられ、八太郎地区4号埠頭の陥没が著しい。

漁港は港内や建物への被害は発生していない。

「災害時地震・津波速報(気象庁 平成7年1月24日)」より

図表

表3-01:本震及び余震の被害額の合計(青森県)その1
表3-01
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

表3-02:本震及び余震の被害額の合計(青森県)その2
表3-02
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

表3-03:本震及び余震の被害状況(青森県)その1
表3-03
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

表3-04:本震及び余震の被害状況(青森県)その2
表3-04
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

表3-05:本震及び余震の被害状況(青森県)その3
表3-05
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-01:被災したパチンコ店
写3-01
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-02:県立八戸東高等学校。間仕切りが上からの力で大きく曲がってしまった。
写3-02
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-03:柱の中央に亀裂が入った西側八戸市庁舎
写3-03
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

写3-04:大きな被害を受けた住宅
写3-04
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

写3-05:三沢市姉沼橋付近、右側門柱に向かって亀裂が走っている。
写3-05
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-06:三沢市平畑、小川原湖温泉浴場。床が大きくゆがみ柱も傾いている。
写3-06
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-07:高館むつ市川停車場線の道路陥没
写3-07
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

写3-08:新郷村堂ケ前、栃柵手倉橋線。路肩が大きく陥没。
写3-08
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

写3-09:八戸市河原木字見立山、JR東北線陸奥市川-八戸間で路盤に土砂崩れ。
写3-09
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-10:十和田市東十三番町。水道管の被害状況。
写3-10
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-11:新郷村西越地内。水田が斜面を流れ落ちた土砂に埋没した。
写3-11
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-12:六戸町鶴喰地内。水田陥没。
写3-12
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-13:八太郎1号埠頭D岸壁
写3-13
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-14:アスファルトタンクの座屈
写3-14
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-15:八戸港八太郎4号埠頭P岸壁の路盤沈下
写3-15
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-16:石油コンビナートに見られた液状化現象
写3-16
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

写3-17:大畑町正津川漁港で護岸が倒壊
写3-17
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

その他の被害等

三陸はるか沖地震に関する警報・注意報・情報

青森地方気象台発表

  • 12月28日 津波警報「4区津波」
    東北地方太平洋岸に津波警報
  • 21時23分 津波注意報「5区津波注意」
    東北地方の日本海沿岸と津軽海峡方面に津波注意報
  • 21時40分 地震・津波情報 第1号
    東北地方太平洋岸は津波に厳重警戒。東北地方の日本海沿岸と津軽海峡方面は津波に十分注意
  • 21時45分 地震・津波情報 第2号
    地震による津波到達予想時刻:八戸(28日21時50分)、深浦(28日22時50分)、青森(28日23時00分)
  • 21時55分 地震・津波情報 第3号
    震源・震度の情報:28日21時19分 震源:三陸はるか沖 震度6:八戸 5:青森、むつ 3:深浦
  • 22時00分~22時55分 地震・津波情報 第4号~第11号
    津波の第一波:八戸 28日21時55分 津波の最大の高さとその時刻:八戸41センチ(28日21時55分)、八戸41センチ(28日22時10分)
  • 23時00分 地震情報 第12号
    青森県震度分布(震度3以上) 震度6:八戸 震度5:青森、むつ 震度4:天間林、市浦、大畑 震度3:深浦
  • 23時15分 地震情報 第13号
    津波の最大の高さとその時刻:八戸44センチ(28日23時02分)
  • 23時45分 津波警報の解除、津波注意報の解除
    東北地方太平洋岸の津波警報を解除。東北地方の日本海沿岸と津軽海峡方面の津波注意報を解除。
  • 23時50分 地震情報 第14号
    東北地方太平洋岸の津波警報、東北地方の日本海沿岸と津軽海峡方面の津波注意報を解除した。これから沿岸では、しばらく海面の変動がつづくため引続き注意。

「マグニチュード7.5の衝撃」より

新聞記事等

図表

図3-08:東奥日報(平成6年12月29日)
図3-08
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

図3-09:東奥日報(平成6年12月29日)
図3-09
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)

図3-10:デーリー東北(平成7年1月8日)
図3-10
参考文献:平成6年三陸はるか沖地震の記録(八戸市)

図3-11:陸奥新報(平成7年1月8日)
図3-11
参考文献:マグニチュード7.5の衝撃(青森県)