遭難事故防止の心得

第1 山菜採り等遭難事故の概要

高齢者の遭難が多発! クマや火山性ガスに注意!

しらかみ
青森県防災ヘリコプター「しらかみ」

(平成28年8月1日 新機体運用開始)

1 山菜採り等遭難事故の特徴

(1) 年間発生状況の特徴

 

 

○山菜採り等による遭難事故の発生件数は、最近5年間では春が17~26件、秋が10~15件で推移しており、春の方が秋を上回る傾向が続いています。

○毎年、亡くなられる方が後を絶たず、昨年(28年)は春に5人、秋に6人の方が亡くなるか行方不明となっています。特に昨年秋の6人は、ここ数年で最も被害が多い状況となっています。本年(29年)春にも、1人の方が亡くなっています。   

(2) 月別の発生状況の特徴

 

○山菜採り等による山岳遭難事故の発生は、例年、春はタケノコ採りや山菜採りで山に入る人が多い5月と6月、秋はキノコ採りで山に入る人が多い9月と10月に集中しています。ただし、昨年は11月になってからも3件の遭難事故が発生しています。

○山菜等の最盛期には、山の奥に入り込んで道に迷うケースのほか、転落・滑落、体調不良、疲労、急病により遭難するケースが多くみられています。

(3) 年齢別による遭難者の特徴

ア 春

○最近5年間では、60歳以上の遭難者が全体の約95%(117人中111人)で、死亡又は行方不明となられたのは全て60歳以上の方々(16人)です。

 

イ 秋

○最近5年間では、60歳以上の遭難者が全体の約91%(74人中67人)で、死亡又は行方不明となられた方々のうち60歳以上が約94%(17人中16人)となっています。

2 平成29年度春の山菜採り等遭難事故発生状況

(1) 遭難件数及び遭難者数の前年との比較

 

○発生件数は、前年に比べ5件減少(23件→17件)しています。     
○遭難者数は、前年に比べ3人減少(25人→22人)しています。     
○死者数等は、前年に比べ4人減少(5人→1人)しています。

(2) 遭難者の状況

ア 年齢層及び男女別

○遭難者は全て60歳以上の方々となっています。

○性別では、男性の方が女性よりも多くなっています。

 

イ 場所別遭難件数及び死傷者数等

○十和田市、平川市の山中での遭難が多くなっています。

 

ウ 遭難者の居住地と遭難場所の関係

○居住地以外の山に入り遭難するケースが多くなっています。

(3) 平成29年度春の山菜採り等遭難事故発生状況一覧 (123KB)
3 平成28年度秋の山菜採り等遭難事故発生状況
(1) 遭難件数及び遭難者数の前年との比較

○発生件数は、前年に比べ2件減少(15件→13件)しています。
○遭難者数は、前年に比べ4人減少(17人→13人)しています。
○死者数等は、前年に比べ3人増加(3人→6人)しています。

(2) 遭難者の状況

ア 年齢層及び男女別

○年齢別では60歳以上の方が80%(10人中8人)となっています。

○性別では、男性の方が女性よりも多くなっています。

 

イ 場所別遭難件数及び死傷者数等

○青森市の山中での遭難が多くなっています。

 

ウ 遭難者の居住地と遭難場所の関係

○青森市の方が地元の山で遭難するケースが多くなっています。 

(3) 平成28年度秋の山菜採り等遭難事故発生状況一覧 (101KB)

 

第2 山菜採り等遭難防止の心得

クマに注意

山菜採りなどで山に入った人がクマに襲われています。クマがいる山には入らないようにしましょう。

       チラシ クマ

詳しくは自然保護課のHPへ チラシ クマ アイコン1

火山性ガスに注意

八甲田山などの活火山では、硫化水素などの有毒ガスが噴出している場所もあります。 他に比べ著しく草木が枯れている場所付近は火山性ガスが噴出している可能性があるので近寄らないようにしてください。特に、無風・くもりの時はガスがたまりやすいといわれているので注意しましょう。

家族等に行動予定を連絡

行き先、帰宅予定時間、車の駐車予定場所を家族等に連絡してから出掛けましょう。

目先の収穫より安全第一

遭難者のほとんどは、山菜採りに夢中になって迷ったり、無理をして崖等から転落したりしています。天気予報を確認し、自分の体力、体調にあった行動を心がけ、無理をしないようにしましょう。また、できるだけ早めの下山を心がけ、万一迷ったら不用意に歩き回らないようにしましょう。

(1) 入山前

○悪天候の日は、晴れた日とは全く違う姿を見せる恐ろしい山、入山は絶対に止めましょう。
○ぺットボトル、チョコレート、あめ玉などの携行食のほか、雨具、携帯電話、ライター、方位磁石などを携行しましょう。
○防寒装備にも十分気をつけましょう。
○反射鏡や反射シール付きの目立つ色の服装(黄色、黄緑、ピンクなどの蛍光色)、寒さに備えた服装で入山しましょう。
○できるだけ2人以上で出掛けましょう。

       チラシ 山菜男チラシ 山菜女

(2) 入山時

著しく草木が枯れている場所付近は、火山性ガスが噴出しているおそれがあるので近寄らないようにしましょう。
○入山時に再度気象情報をよく確かめ、天候の急変が予想される場合は入山を控えるなど、天気には十分注意しましょう。
○山では入山場所の地形を確かめ、大木などの目標物を定めておきましょう。
○入山後も2人以上で行動し、姿が見えない時はお互い声を掛け合い、位置を確認しましょう。
○自分の体力や体調にあわせて無理せずに行動しましょう。
○崖や急斜面などの危険な場所は避けましょう。
○無理だと思ったら、引き返すことを決断しましょう。
○無理せず、早めの下山を心がけ、午後3時(日暮れ前)には下山しましょう。

(3) 万が一迷ったら

○歩き回らず、大木の陰や岩陰で風を防ぎ、火を焚くなどして救助隊の助けを待ちましょう。特に日没後の行動は危険です。
○捜索のヘリコプターの音が聞こえたら、広い場所で白いタオルなどを振って合図してください。

慣れていると思っている山も、一歩踏み込めば知らない山です。

山菜よりも大切な命、遭難には十分気をつけましょう。

大雨の際には、歩道などが荒れて通行できなかったり、滑落や浮き石、落石といった危険性も増します。

また、南八甲田、猿倉岳周辺では突風によるものと思われる複数の倒木のある箇所が発見されています。このように、その時々や場所によって山々の様相は異にしますので、入山の際には、くれぐれも天候や地形をよく調べてから楽しむようにしてください。

 

第3 冬山遭難事故の概要と遭難防止の心得

冬山での遭難事故が発生しています

毎年、八甲田山、岩木山などで、登山、スキー、スノーボーダー等による遭難事故が発生しています。吹雪のため視界が悪く、スキーコースから外れて沢に入り込んで遭難するケースがほとんどです。山での遭難は、残る家族の悲しみはもちろんのこと、地域の方々に迷惑をかけることになります。冬山遭難事故防止の心得を遵守し、遭難には十分注意してください。

1 冬山遭難事故防止の心得

(1) 入山前

○全国的に雪崩による被害が発生しています。雪崩被害の救助は二次被害の危険も伴うため、救助まで時間がかかる可能性があります。入山前には気象情報などを十分に確認し、状況によっては入山を止める勇気を持ちましょう。

○悪天候の日は、晴れた日とは全く違う姿を見せる恐ろしい山となります。入山は絶対に止めましょう。
○家族に行き先、帰宅時間を知らせて出かけましょう。
○十分な防寒装備で出かけましょう。
○携帯電話やペットボトル、チョコレート、あめ玉、梅干しなど2~3日分の食料を持ちましょう。
○自分の体力や体調にあわせて、無理をしないようにしましょう。
○できるだけ2人以上で出かけましょう。
○コンロ(ガス燃料は不適)など、厳寒でも使用できる物を多めに携行しましょう。
○ガスライターではなく、オイルライター、マッチなど、厳寒でも使用できる物を携行しましょう。
○登山計画書を提出しましょう。(青森県警察本部地域課のほか、入山する山を管轄する警察署、交番・駐在所等で受け付けています。)

○雪崩にあった時のために、雪山ビーコンを持参しましょう。

(2) 入山時

○入山時に再度気象情報をよく確かめ、天候の急変が予想される場合は入山を控えるなど十分注意しましょう。
○入山場所の地形を確かめ、大木等の目標物を定めましょう。
○沢には入り込まないようにしましょう。
○滑走中に視界が悪くなったら動き回らずに天候の回復を待ちましょう。
○スキー、スノーボードを滑る場合は、設定コースからはずれ、冒険してみようなどと冬山を甘く見ないようにしましょう。
○無理だと思ったら、引き返すことを決断しましょう。
○携帯電話等は体で温めて消耗を防ぎ、必要なときに使用できるようにしておきましょう。

(3) 万が一迷ったら

○テントや木の根本などに雪洞を作ってその中で寒さをしのぎ、携行したコンロ等で暖をとり、救助隊の助けを待ちましょう。
○捜索のヘリコプターの音が聞こえたら、高台まで行きタオルなどを振って合図をしましょう。
○携行した携帯電話で救助を求めるとともに、現在地の地形など知る限りの情報を連絡しましょう。

冬山よりも大切な命、遭難には十分気をつけましょう。

雪崩の原因となる雪庇の箇所や大きさは、その年の天候や地形によって異なっています。

また、南八甲田山、猿倉岳周辺では、突風によるものと思われる複数の倒木のある箇所が発見されています。このように、その時々や場所によって山々は様相を異にしますので、入山の際には、くれぐれも天候や地形などをよく調べてから楽しむようにしてください。

2 冬山遭難者の生還事例

(1) 遭難事例1
ア 概要

この事例は、八甲田山冬山登山に出かけた遭難者2名が、8日間もの間、真冬の八甲田山で猛吹雪と厳寒に耐え無事生還を果たし命が救われた事例です。

平成13年2月15日午後5時頃、遭難者の家族から「母が勤務する会社から電話があり、青森県の八甲田山に行くといって休暇を取ったが、休暇を過ぎても出勤していないので、遭難しているのではないか。」との通報が青森警察署に寄せられた。警察署では、遭難の可能性があるとして八甲田山付近の旅館等を調査したが、遭難者の足取りがつかめずにいた。このような中、酸ヶ湯温泉から「駐車場に数日前から放置されている車両がある」との情報が寄せられ、2名が同温泉に宿泊し登山に出かけたことが判明した。

県では、直ちに陸上自衛隊第9師団に災害派遣の要請を行うとともに、陸上自衛隊・警察・消防など約250名体制で捜索を開始した。しかし、山は猛吹雪で荒れ狂っており、数メートル先が見えない中で必死の捜索をしたものの、1日目は発見することができなかった。

捜索の2日目。捜索隊は再び猛吹雪の中で必死に八甲田山を探し回ったが、なかなか発見できずにいた。その日も発見できないまま捜索を打ち切ろうとしていた午後4時35分、遭難者から救助を求める携帯電話が鳴り、1名を無事発見した。遭難してから8日目のことである。もう1名の遭難者も山の中腹に設営したテントの中で救助を待っているとのことであり、一刻も早く救助しなければならなかったが、二次災害の危険もあるため夜間捜索を中止し、翌日の捜索に備えてテント設営場所の特定を急いだ。翌日、テントの設営場所を特定した捜索隊は、一気に遭難地点に向かい、見事18日無事救助、保護した。

イ 無事生還した要因

ア 2~3日分の食料を小分けにして食べていたこと。
イ 冬用のテント、コンロ、装備品等を準備していたこと。
ウ 携帯電話の電源を必要以外はOFFとし、バッテリーが消耗しないように体で保温していたこと。
エ テントは、木立に囲まれた場所に設営したほか、風に飛ばされないよう両端をスキーで固定していたこと。
オ 万が一遭難した場合に備え、捜索隊が発見しやすい、風上の高台を選んでテントを設営していたこと。
カ 冬山に精通した者が同行していたこと。 

いくら充実した装備品や食料を準備していたとしても、絶対安全ということはありません。登山者名簿に登山ルート等を記入してから登山していたならば、発見が早まったのではないかと考えます。登山届、家族への行き先等の連絡は絶対に守ってください。奇跡はそう簡単には起こらないのだから。

(2) 遭難事例2
ア 概要

この事例は、八甲田スキー場のコースで沢に迷い込んだスキーヤー4名が携帯電話で遭難を早く知らせたことから、無事生還を果たし、命が救われた事例です。

平成13年2月19日午後4時35分頃、八甲田スキー場フォレストコースで寒水沢に迷い込んだ岩手県の男性スキーヤー4名が、携帯電話で遭難を知らせたことから捜索が始まった。

通報を受けた県は、直ちに陸上自衛隊第9師団に災害派遣の要請を行うとともに、翌日の2月20日、警察・陸上自衛隊・消防団など約200名体制で、地上隊と自衛隊ヘリにより捜索を行ったところ、午前7時18分、通報した遭難場所と違う場所で自衛隊ヘリが遭難者を発見、保護した。

イ 無事生還した要因

ア 携帯電話を所持していたこと。
イ 動き回らず、雪洞を掘ってビバークしたこと。
ウ 八甲田山を知っていた者が同行していたこと。

一旦荒れ狂った山の景色は、似たような地形が次々と出てくるため、自分の位置がわからなくなりやすく、冬山の猛威は豊富な経験による判断力を鈍らせることになります。悪天候の日の山は、晴れた日の山と全く違う姿を見せる恐ろしい山であることを肝に銘じておきましょう。いくら八甲田山を知り尽くしたベテランが一緒であっても、また、十分な装備品や食料を持参していたとしても、油断は禁物です。基本は絶対に守ってください。